どのような前立腺癌が本治療法の対象となりますか? また治療方法の特徴と成績を教えてください。
CT検査や骨シンチグラフィーによって、遠隔転移が見られないとされた患者さんが適応となります。前立腺癌は一般に顕微鏡で見た癌の悪性度(グリソンスコアという悪性度の指標が一般に用いられます)と診断時のPSA値によって、低リスク、中リスク、高リスクにわけられますが、原則これらすべてのリスク群の患者さんに対し小線源療法を用いた治療を行っています。
ただし、砕石位の体位が取れない方、あるいは、診断や治療治療に使われる超音波プローブの肛門からの挿入が困難な方などは、治療ができないことがあります。また、前立腺体積が非常に大い方の場合は、事前にホルモン治療によって縮小させることが必要となる場合もあります。
※ 主な医療機関では、低リスク群に関しては、経過観察(アクティブ・サーベイランス)が勧められるという考え方が主流になってきており、現在のところ低リスクの患者さんに対しては、ただちに治療を開始するわけではありません。
高リスク前立腺癌に対して
従来は悪性度の高い前立腺癌(高リスク群の患者さん)には小線源療法は適さないと考えられていました。しかしながら近年、難治性とされる高リスク前立腺癌に対してホルモン治療を短期におこないながら小線源治療と外部照射併用による超高線量照射(高リスク癌に対するこの治療をトリモダリティと呼んでいます)を行うことにより、非常に優れたデータが海外より出ています。この点からわれわれも高リスク症例には積極的にシード治療と外部照射を併用したトリモダリティを行っております(詳細については[4]を参照してください)。
またPSAが30ng/mlを超えるケースや、精嚢に浸潤のある症例でも精嚢にシードを配置するなどで対応できます。
低リスク、中間リスク前立腺癌に対して
中間リスクまでに対して行っている小線源単独療法にも大きな特徴があります。具体的には中間リスク前立腺癌の項目で詳しく述べていますが、高い総線量で治療しています。
また現在、単独治療の場合 大きな前立腺であっても前立腺サイズを縮小させるためのホルモン療法はなるべく行わないようにしています。年齢が若い方の場合、治療後10年、15年後も再発の不安なく安心して生活ができるように、また性機能も安定して温存できるような治療をおこなうことが私たちの使命であると考えています。