密封小線源療法とは

小線源とは、放射性物質を封入した小さな金属製のカプセルのことで、それを治療する局所に挿入して埋め込み、内部から放射線を照射する治療法です。英語ではブラキセラピー(brachytherapy)と呼ばれていますが、ブラキ(brachy)とは「近接した」という意味で放射線源と照射目標が短いことからこのように呼ばれています。日本でも古くから、舌癌や婦人科の癌に対してラジウム、セシウム、金などの放射性物質を用いた小線源療法が行われてきました。

前立腺癌小線源治療の歴史

密封小線源療法において、前立腺癌治療では、1970年代にアメリカで前立腺癌に対する(I-125)を密封した小線源(シード線源)を前立腺の中に挿入して照射を行う組織内放射線療法が開始されました。しかし当時の方法は下腹部を切開し直視下に線源を留置して行う方法であり、線源を目算で挿入していたため線源分布が不均一となり、効果が不十分で広く普及するには至りませんでした。

超音波画像によりシード線源を挿入

その後、直腸に超音波端子を挿入する前立腺用の経直腸エコーが開発され、前立腺の超音波画像が鮮明に得られるようになりました。これにより超音波画像を見ながら会陰部(肛門と陰嚢の間の股の部位)から前立腺内に針を刺して、そこからシード線源を挿入することが出来るようになりました。皮膚切開を必要とせず、しかも前立腺に正確に線源を留置することができるようになって治療成績が飛躍的に向上したため、1990年代になってI-125を用いた小線源療法は年々増加の傾向をたどっています。近年の米国では 年間50,000人を超える人がこの治療を受けており、前立腺全摘除術を受ける人とほぼ同数になっています。

リアルタイム術中計画法により、高い放射線エネルギーを照射

ことに2004年以降の技術開発はめざましく、ニューヨークマウントサイナイ医科大学を中心に開発されたリアルタイムによる術中計画法により、正確かつ確実に線源が前立腺に配置できるようになりました。これにより、非常に高い放射線エネルギーが、照射できるようになっています。

リアルタイムによる術中計画法による超音波画像と、治療後のX線フィルム

このように、小線源治療はおもに米国において前立腺癌に対する放射線療法として確立され、既に20年以上を経過し、限局性前立腺癌の一般的な治療法として広く行われていますが、われわれもすでに1200例を超える患者さんに、この治療を行っています。

前立腺癌の治療でもっとも大切なことは最初の治療で確実に完治させることです。ここでは小線源療法の内容とその特徴について説明いたします。